色紙の落款について

落款とは?

落款は、落成款識を略したものです。 色紙に文字を書き終わると、主に書き手の姓名や雅号を書いて印を押します。

姓名、雅号の他に、日付、書いた目的、内容、書いた場所などを入れることもあります。 これらを総称して落款といいます。

落款の出来が色紙作品に大きく影響します。特に署名、捺印以外の落款は、色紙内の本文との調和に注意しながら書体・

字体を選び、字数によって書く位置をよく研究してから慎重に色紙に押すようにしましょう。

完全な落款は、いつ、どこで、なにを、なぜ、だれがの5つの要件を満たしたものです。 しかし、一般には完全な落款を入れる

ことは少なく、署名、捺印に留めることが多いようです。

雅号・姓名の下につける語

「偶筆」「戯筆」「戯書」「戯作」「酔書」

色紙に号や名を書くとき、その下には「書」を使うのが一般的ですが、「偶筆」「戯筆」「戯書」「戯作」「酔書」などを使うこともあり

ます。

「臨」「臨書」「倣」

古典や師匠の書を臨書した場合は、「臨」「臨書」と書きます。

倣書のときは、「倣」を使います。

※臨書 手本を見ながら書くこと
※倣書 ある作家や作品の書風によって、新たに詩文を書くこと。書を学ぶ上で、臨書の次の段階とされます。

「作」「草」「題」「稿」「撰書」

自作の詩・俳句・短歌などを書いたときは、「作」「草」「題」「稿」「撰書」などと使います。

その他

居士

学徳がありながら、官に仕えず民間にある人

道人

俗事を捨てた境涯の高い人

学人

道芸を学ぶ途中の人

散人・散史・外士

自由な立場で文筆に親しむ人

閑人・間人

職業を離れ、自由気ままに暮らす暇な人

逸人・逸史・逸民

世捨て人

迂人・迂史

世の中のことに疎い人

野人・野史

礼儀や作法にこだわらない人

山人・樵夫・樵客・山樵・幽人・仙史

世間から離れ、山里に隠居している人

漁夫・漁史・漁翁

世間から離れ、海辺に隠居している人

色紙の雅号

 雅号印について

色紙に書をしたためる際、最後に雅号印を押して完成します。

雅号印は、書画などに使うもので、普段使う印鑑とは異なります。

雅号印は、作品に対する責任を示すものですが、色紙作品に色彩上の効果と安定感をもたらします。また、本文を引き立てたり、

大変重要な役割をもちます。

色紙作品において、どんな印を使用し、どこにどう押すかは、作品の出来不出来を左右します。

印の種類

印には、落款印と引首印の2種類があります。

1.落款印

形は正方形が多いです。

色紙に印を押したとき、文字が朱色の印が朱文、文字が白色の印が白文です。

一応白文は姓名印に、朱文は雅号印に使うというルールがありますが、好みで選んでよいと思います。

2.引首印

色紙の右上に押す印です。関防印とも言います。

書き出しという意味もありますが、作品の効果を上げるために使うことが多いです。

引首印にも朱文と白文がありますので、作品によって使い分けます。

形は長方形のものが多いですが、楕円形や縦長の自然石など様々です。

※かな作品には引首印は使いません

印の押し方

印を押す場所は非常に重要ですので、色紙に印を押す前にあらかじめ押す場所を検討します。

やりかたは、紙片に印を押して切り取り、それを色紙の面に置いて効果的な位置を決めます。

位置が決まったら、作品の下に印台を置き、印影が歪まないように印矩を使って位置を確定します。

印矩にあてがって押します。

あまり強く押さず、押した後はそっと離します。思った以上に色紙の印影が薄い場合は、印矩を同じ

場所に固定していれば重ね押しが可能です。

押し終わったら、印影にティッシュペーパーをのせて、指の腹か、爪の面で軽く押さえて余分な印泥

を吸い取ります。

雅号の付け方

雅号は、昔は他人から尊敬されて付けた呼称されたものですが、今では師匠から贈られたり、自分

で自由に付けたりしています。

風流な別名で本名以上に使われ、親しまれる呼び名になります。どんな雅号にするかよく検討の上、

身近な人にも相談して決めてください。

性別でみる好まれる雅号の傾向

女性

華・花・水・舟・園・汀

男性

天・山・雲・石・岩・竹

住まいや故郷に因んで

雲仙・西望・北海

趣味・嗜好から

抱石・静琴・翠竹

生き方・外見・風貌から

誠心・志峰

漢詩文・四書・五経から

鳴水・瑞峰・碧水

以上、色紙作品に使う落款・雅号印について、ご案内いたしました。

素敵な色紙作品が仕上がりますように。