短冊の意味

短冊は、短尺とも書きます。
「短い」、あるいは「小さな」という意味です。
「尺」は、短い紙という意味です。
本来は、「短籍」と書いて、「ひねりぶみ」と読んでいました。



短冊のはじまり



室町時代に和歌を書くようになった短冊は、元々は料紙の節約から発生したものと考えられます。
1枚の和歌懐紙を6枚折りにして、刀で細く切り裂く、これが短冊の原型です。
現在残っている最も古い短冊は、南北朝時代のものです。
二条為忠・兼好法師・頓阿法師のものなどがあります。
足利尊氏ら多くの人々が供養のために短冊に歌を書き、それを貼りつないで、その裏に「宝積経要品」を書写したものが、残っています。 これは、室町時代以降の他の遺品よりも小さく、短冊そのものの変遷をみる上で重要な資料になっています。

 

短冊の装飾化

 

室町時代初期の短冊は、白色が多いですが、半ばになると、雲紙が使われるようになります。
雲紙とは、上下に藍染の繊維を雲型にすきこむものです。

さらには短冊に金銀の切箔を散りばめたり、金銀泥の美しい下絵を書き入れて装飾を施すものもあります。

この頃、貴族社会では、色紙同様に短冊も贈り物にしたり、求めに応じて書き与えるなどという使われ方をされるようになります。

短冊の料紙の金銀泥の下絵を書くのは、当時狩野派の有能な絵師の仕事だったらしく、公卿が絵師のところに持ち込んで、短冊の下絵を依頼するといった記録も残っています。

当時の短冊が、和歌を書く料紙として非常に貴重視されていたことがうかがえます。

 

短冊の書式

 

短冊に書く場合も、色紙に書くのと同様、いろいろな書式があったようです。
さらにその書式は、歌道の家々によって、様々だったようです。

たとえば、1枚の短冊を四等分にして、その一番上の位置に歌の題を書いたり、下四分の三に五七五・七七の上の句と下の句を書くことが多いようです。

古歌を書く場合には、(自詠の歌以外には)自分の名前を入れないのが通常です。

歌の題に関して、当座(会の席上でだす和歌の題)の和歌のときは、題を書いた紙をあらかじめ配り、それに各自が和歌を書き、取り集めてから秀歌を選ぶという手順で行われました。

以上、書法だけでなく、短冊そのものについても、いろいろな作法がありますが、まずは一般的な作法を知っておく必要があると思います。